『僕から見た日本のR6Sシーンについて』

この記事は個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません

日本人は対立を極端に嫌い、意見をぶつけ合うことを恐れる。貴方たちはMagnetの意見を鵜呑みにして受け入れてはいないだろうか。これだけ同意の意見がある中で批判的立場を取るのは、ディベートをすることが僕にとっての生き方だからだ。批判的立場を表明し対立意見を出すことは、必ずしも僕がMagnetのアンチであるということではない。むしろ感情的にはMagnetの意見を理解しているし受け入れている。では何故、あえて批判的な記事を書こうと思ったのか、それは僕の考え方の一遍がここに存在しているからだ。僕は自分でシージの作戦を立てたときも、何度も自分の中で対立意見を立てて、脳内でディスカッションを重ねる。普通にシージをしているときだってそうだ。僕は敵にやられたときにどうしたらよかったのか、複数の立場を想像して、それぞれの立場でディスカッションを行う。その結果最良の立ち回りはどれだったのか、結論を出して反省とする、僕はこうやって生きてきた。僕は誰にでも批判的な言葉を投げかけるが、貴方のことが嫌いなわけではない。よりよい方法と結果を模索すること、ゲームでも現実でも全ておいてやり続けてきた。相手の立場、意見を理解はしている、理解した上で僕の理解、問題点と対案を投げつけようじゃないか。

マグネットという強くてカッコイイプレイヤーがそういったからと言って、すべてを鵜呑みにしていては、お前はマグネットを超えることなど出来はしない。強い人の動画を見て、真似をしているだけのプレイヤーは永久にそのラインを超えはしないのだ。だから”考える葦”は、何故そうなのか、どうすれば良いのか、背景、バックグラウンドを、そして本当の課題をここに考えよう。

※ここでいう考える葦とはAim力の無い弱者こと、私を指す。

1.プロ意識のなさについて

大前提として、日本は超超超esports後進国だ。最近は後進国という言葉は悪い意味が含まれがちな為あまり使われることはない。しかしあえて使おうではないか、日本はesports後進国である。

Fnaticというチームは2004年にCounter Strikeのチームとして発足した。当時、僕は14歳である。一人のFPSプレイヤーとして世界で活躍するチームを見てきた。それから15年の歳月が経っているのだ。そもそものベースからして数倍の差があるのだ。我々の界隈で比較的早めに発足した野良連合ですら2016年である。Fnaticと比較してしまえばたった3年、4年の、まだ歩き始めたばかりの赤子レベルだ。

そしてプロとしての高い意識を持つ為に必要な生活環境を整えることや、次のキャリアを目指すことも他国と違い異常に厳しい環境にあることもあげられる。専業プロゲーマーとして活動する資金をなんとかギリギリ(生活保護受給者レベルの)得たとしても、プロとしての生命が年齢とともに終わりを告げたとき、そこで私のようなホームレスになってしまうのでは、人生終わりではないか。

他国と違い。日本はまだまだ終身雇用の空気が根強い。そして再就職、再雇用といった道を目指したとしても、esportsの理解がまだまだ浅い日本では「ゲームに呆けて仕事もしてこなかった奴が、どんな仕事が出来るというのだ?」と一蹴されるに違いない。もちろんゲーム業界やその後の人気をいかしてYoutubeなどに活動の場を移す人たちもいる。けれどR6Sより以前のゲームに目を向けてみれば、現在もそんな活躍をしているのはトップの極々々一握りではないか。そこにたどり着くことが出来なかった人間は、どうやって生きるのだろうか。日本という国は、そうしたチャレンジに失敗した人たちがリスタートするにはあまりに過酷すぎるのではないだろうか。

こうした日本のesportsを取り巻く背景を見れば、学業や本業としての仕事をしながらesportsに取り組むことはなんらおかしいことではない。esports先進国でもそうして活動をしている人たちは少なからずいるだろう。しかし、ここで更に足を引っ張ってくるものがある。それは日本が国策として推し進める働き方改革の柱でもある「長時間労働の是正」からもわかるが、他国と比べて圧倒的に長い労働時間(拘束時間)である。

練習時間に遅れてくる、真剣さが足りないといった問題も、理由が見えてきたかもしれない。日本においてesportsにオールインにして人生の全てを注ぎこむのは、あまりにリスクが高すぎる。セカンドキャリアを求めてYoutube活動をしたり、学業や本職のお仕事に励むことは決して悪い事ではない。しかし、等しく平等に24時間しかない時間の中でesportsだけに心血を注ぐことの出来るFnaticのような歴史あるesportsチームにおける環境と、オールインして失敗したらお先真っ暗のJapa~nではあまりにバックグラウンドが異なりすぎるのではないだろうか。もちろん遅刻してもいい、だとか、真剣でなくてもいい、わけではない。我々の持っているリソースを学業などなど様々なことに使って、なおesportsを頑張ろう全力でやろうという若者たちが、睡眠時間や体を削って全力をかけているのだ。バックグラウンドの全く違う人たちから、「これが出来てないからやれよ」と指摘されるのを理解は出来るが、そう簡単に解決できるような問題ではない。そしてこの問題は1.2.3.全てに通じる部分であり、最大の問題点だ。

2.練習メニューについて

そもそもメンターやコーチ、またアナリストといった存在を抱えてきちんと運用できているチームは多くはない。トップチームでもアナルリストは無給で、ボランティアといったことがまかり通っているし、そうした環境できちんとした分析、解析を行って作戦に落とし込む作業を適切に出来ているとは到底思えない。アナリストが解析したデータを作戦に落としこむ為にチームメンバー全員とディスカッションしているチームがいくつあるか。あえて名前はあげないが1~2チームくらいではないだろうか。

そしてマネージメントやサポートしてくださる方々と選手は手を取り合って、勝利に向かって協力して進まねばなるまい。しかしながら日本においては、お金や視聴者数、集客数といった数字が求められるケースがあまりに多い。選手一人ひとりが異なる数字を持っていることから、人気、知名度、集客力が重視され、チームとしてではなく個人として注目されがちなため、マネタイズを意識するチームは更に勝利への最適解から離れていくのだ。他国のesportsチームは勝利の為にメンバーチェンジをしたりEUシャッフル(大きなメンバー移籍)を行ったりするが、日本のチームはスポンサーと協力して宣伝してお金を稼ぐことに夢中になってしまう。確かにお金は大切だ。勝利より大切なのか、と言われると僕には理解できないと言わざる得ない。しかしながらあまりに日本ではesportsにお金が回っておらず、そうせざる得ない環境にある。回収できるかもわからない投資を喜んでいくらでもしてくれる神様のような存在は日本には存在していない。

とりあえず、客観的に戦略を考えられる環境作りが大事』といってもその客観的戦略を考えられる環境を作り上げることは、そう簡単ではない。せいぜい主観的戦略を押し付けることが日本において精一杯なのが現状だ…残念ながら。

3.ゲームとの向き合い方について

日本には「空気を読む」という僕の大嫌いな抽象的でクソみたいな言葉がある。僕はディベートのような立場を明確にして反論意見を言うのが大好きだ。ロジックを立てて物事を分解し、ロジックを組みなおして最適な回答を出すためのディスカッションを愛してやまない反対論者だ。

今は、基本であるクロスファイアー、ポジショニング、決断力、カウンター攻撃そして、METAを理解することが大事です。』

これは当然のことであり、何度も言われてきた。僕も何度も言ってきているし、FPSの一番の基礎であるクロスを組むことなんていうのは、”ランチェスターの法則”ともいえるし”孫氏の兵法”にも書いてある古来からの人類の知恵だ。

FPSの基本とは一人では決して成し遂げることが出来ないテクニックで、連携が必ず求められる。その連携を作り出すことが、話し合うこと、作戦を組み立てて全員が理解すること。そしてその作戦をより良い物にする為にディスカッションすることに他ならない。

よく日本ではこんな光景を目にする。チームのリーダーが一つの作戦を完成させ。それを実行する。そして失敗したときに、「この作戦はダメなんじゃないか?」と意見を受けたリーダーが言う「じゃあお前が作戦を作れよ」こういったやり取りがどこのチームでも行われているのが現状だ。作戦をよりよくする為の意見を、己の知恵を振り絞って出し合い、その案を持ち寄ってディスカッションし、作戦を高める事が最も大切なのに。そこに至ることが出来ない。最終的には「空気を読んで」黙り込むのだ。これでは連携もとれないし、いい作戦も生み出されることはない。

 『日本が、強い選手を集めてオールスターチームを作って、ブートキャンプをしたところで、世界のチームに勝てるとは僕は思わないです。基本が抜けている状態でチームを組んだところで、積み重ねができないからです。』

これについては十分反論の余地があると思われる。GBGは強い選手を集めただけだったが、強い選手は基礎が出来ているし、作戦理解度も十二分にある。実はGBGは全員が作戦立案可能であり、IGLの出来るプレイヤーが揃っていた。だから、そういった選手をもしも集める事が出来たとしたら意味があると僕は考えている。ただし、一時期の野良連合のような撃ち合い特化プレイヤーを5人集めてもそれは成し遂げられないであろう。

個々の潜在能力が高い、やれば出来る。成長が大事。そういったことは我々とて理解しているのだ、マグネットに言われなくても。それが出来る環境を、我々は求めている。

全てを環境のせいにするわけではないが、少なくともEXCITE×EXCITE程度の環境と団結力が無ければ、日本が前に進むことは難しいだろう。EXCITE×EXCITEの環境は、日本古来の部活動の強い学校を思わせる。楽な生活からはかけ離れてはいるだろうが、日本人の特性から言えばこういった過酷さに向き合いながら高め合う環境は、確実に成長を伴うのだろう。そして強烈に5人を引っ張るリーダーシップのある人がチームを率いる。統率のとれた5人組となれば勝機が見えてくるような気がする。

ディスカッションが苦手な日本チームが取るべき道は、海外のようにコーチを含めた6人なり7人が全員の意見をぶつけ合って戦略を成長し続ける方向ではなく。強烈に天才である一人のコーチが残りの5人を過酷な環境で一致団結させ、引っ張り上げて戦うトップダウン形式のチームではないだろうか。6個の脳の柔軟さを、過酷な環境で培った徹底した連携が貫くのだ。日本の悪いところとしてあげていた、長時間労働や、討論の苦手さを逆手に取った完璧な案ではないか。

おわりに

正直いって半分くらいは冗談で出来た文章だ。ディベートのように反対意見を出すつもりで、振り絞って仕方なく書き始めた感が強い。マグネットの指摘はもっともたるところだが、それを阻害する様々な事象が、この日本のesportsの世界には犇めいている。シージだけでなく他のチームプレイゲームを志す全ての人々で乗り越えなければならない問題だが、日本の景気の前進と共に解決するような気がするのだ。

要するに不景気を作り出している阿部政権にNoを!!!

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