ぼくのAimに関する考え方

季節と人の心は、移り変わって行くものだ。

初めに

かすかな記憶の中に、父親がDoomをプレイする後ろ姿が霞む。もしかしたらDoomではなくてCybermageだったかもしれない。いずれにせよ、大きな背中にくっついて、父親のプレイするゲームを邪魔していたのだ。まだ僕はゲームをしっかりと自分でプレイすることが出来なかった頃。僕とFPSゲームは確かに出会っていた。

そして時は流れて中学の頃になり、ようやく僕はFPSゲームをプレイしていた。ストーリーなどはなく、ただ敵を撃つだけのゲームであった。それだけなのに一人称視点に酔いしれ(ダブルミーミング)ながらも、のめり込んでいった。

Aimの壁

まともにスポーツや勉強に打ち込み、成長・上達する「努力」というものを知らなかった僕は、FPSゲームにおいても意図も簡単に”壁”と言われるものにぶつかった。負けず嫌いであったが、強くなる為になにをするべきなのか、皆目見当もつかなかった。

僕がプレイしていたゲームにはなんらかの目標があり、それを達成することで勝利するタイプのゲームであった。要するに敵を倒すだけが勝利への道ではなかったのだ。昨今のFPSゲームにおいても同様に勝つために必要なものはいくつかあるが…、ここで僕は道を誤ったのかもしれない、と、今になってそう考えることもある。

壁を避ける道

無理にAimで勝とうとする必要はないのだ。

中高生だった僕はゲームをプレイする環境もお世辞にもいいとは言えず、所属していたチーム=STOP=のリーダーである”鳩氏”から貰ったPen4 1.6GhzのPCに鞭を叩いて、60FPSも維持できないゲーム環境で必死にプレイしていたのだから。ヘッドホンも数千円、マイクも千円はあれば買えるような、今では考えられないような環境は、僕の目を現実から背けるのに十分な言い訳になっていった。

極論では確かに、「正面から撃ち合いに勝つ必要性はない」とも言える。僕は必死に”勝利条件をいかにして満たすか”、または”正面からの撃ち合いを回避して敵を撃ち倒すか”を考えて過ごした。学校へいるときも、家にいるときも、お風呂の中でも考えた。

人一倍ズルいプレイに努めた。投げ物やポジション取り、勝ちへの圧倒的にどん欲な立ち回りは、僕を確実に強くした。

ゲーム的思考

Dexterity(器用さ、機敏さ)を略してRPGゲームなどでDEXと表記することがある。レベル毎にもらえる成長ポイントを振り分けて、自分の好みのプレイスタイルに合わせた成長を遂げるのだ。

  • STR(Strength、力)
  • DEX(Dexterity、器用)
  • AGI(Agility、俊敏)
  • INT(Intelligence、知力)
  • VIT(Vitality、体力)

往々にしてこんな感じのパラメーターがあったりする。僕はFPSゲームをするにあたりAim力を上達させる為の努力を避けてきた。レベルを上げて成長ポイントを全てIntelligenceにぶち込んでいた。

ただしゲームと現実が違うことがある。成長ポイントがもらえる瞬間というのはRPGゲームであれば、敵を倒して”経験”を蓄積してレベルが上昇したときだ。現実において成長ポイントは直接的に”経験”に対して蓄積される。DEXを上昇させようと思うならば、DEXを上昇させる”経験”をしなくてはならない。僕はゲームで勝つために知識を増やす為日夜努力を重ねたが、それは全てINTを上昇させることとなった。

成長ボーナス

DEXにポイントを1振っても人によって得られる実際の器用さは異なる。あなたが戦士や重騎士のジョブならば、STRにポイントを振った方が効率よく強くなることができるだろう。僕は生まれつきの才能という言葉は信じてはいないが、子供の頃に多く振ったステータスは、大人になっても成長の余地を残すことが出来る。このことは認めざる得ない事実のようなのだ。

生まれつきの才能はないが、生まれてからの意図しない成長の差は大人になってからも必ず付きまとう。赤ん坊の頃に遊ぶ玩具によってその人のDEXの伸び率は大きく変わるということだ。

僕はDEXの伸び率が悪かった。器用ではなかった。成長ボーナスはついていなかった。しいて言うならばIntelligenceに成長ボーナスのついた人間であった。人よりはやくゲームの全容を把握して、適応する力があった。例えば最近Among usを初プレイしたが、3回やればコツをつかみ、10回やれば全容を把握して勝つための手段を作り出すことができた。

子供の頃から考えることで状況を打破していた僕の人生が、INTの値を高めることとなっていたのだ。

Dexterity

Aim力はIntelligenceによって上昇しない。10%のSTRと90%のDEXがAim力と言えるものを司る。

”経験”がステータスを上昇させる。と僕は説明した。それではDEXを上昇させる”経験”とはなんだろうか。

それはAimを練習する行為に他ならない。当然のことだ。自分が上達する為に必要なのは、自分が出来ないことを、出来るようになる為の練習だ。Aim練習にかけた時間は、DEXを上昇させる経験となる。

人間は寝ていてはステータスは上昇しない。どんな生き方をするのもあなたの自由だが、毎日ステータスを振りながら生きた人間と、だらけてステータスを振らずに生きた人間の差は、果てしなく大きな差になる。

RPGゲームには成長の限界がある。しかし現実ではどうだろう。確かに物理・科学の世界から見た限界値というのは存在するが、必要なのは他者より多くDEXを上昇させることであってその点いえば限界値というのは果てしなく無限に近いようだ。

Strength

プロ野球選手はホームランを打つために、毎日ボールを打っている…だけではない。バットを振る為に必要なStrengthの値はせいぜい40~50だが、ボールを観客席に叩き込むために必要なStrengthの値は80~100と大きな差があることをご存じだろうか。

僕は先ほどAim力は10%Strength値が関係すると言った。それはマウスを左右に振ることのできる最低限度のStrength値ではならないという意味である。確かに大きな力は必要のないものだ。しかしながら微細で迅速なマウスコントロールには、少なくないSTRが必要になる。

もしも君がマウスと箸しか持てないような軟弱な生物ならば、今すぐにAim力を上昇させるために”経験”を体に与える必要があるだろう。

経験とは

Intelligence【知能、理解力、思考力、知性】読み方は”インテリジェンス”だ。発音については目をつぶるか、Googleさんにでも聞いてみて欲しい。

君はいま”Intelligence”という単語がわかるようになった。経験を積んだのだ。いま君のINT値は0.001上昇したのだ。

さて…

Intelligence【知能、理解力、思考力、知性】読み方は”インテリジェンス”だ

君はいま再び”Intelligence”という単語の意味を説明された。これは”経験を積んだ”とは言えない。知っていることを、再び聞いたとしても、君のステータスは上昇しない。するわけがない。

英語を勉強しようと思うならば、知らない単語を、知る経験を積む。INT値を上昇させるために必要なのは常に新しい世界を見に行くことなのだ。

Wit【理知、知力、理解力、知恵】読み方は”ウィット”だ。この単語には【トンチ】というような意味もあり、「ウィットの効いたジョーク」という言葉には”機転の利いた”冗談という意味になるだろう。知らんけど。

さて、君はいま”Wit”という単語がわかるようになった。経験を積んだのだ。いま君のINT値は0.001上昇したのだ。

Aimの道を歩むもの達へ

経験は積み重ねるものだ。積むという漢字と重ねるという漢字は横に棒が沢山積み重なっていて、いかにも高見を目指せそうな字格を感じさせる。

テロハントの為のテロハントは成長しない。それは君が”新しい”経験をしていないからに他ならない。

30歳を目前にわかることがある。それは”新しい”経験は自分から行かないと得られないということだ。未知の、未だやったことのない、経験したことのない物事は、待っていても絶対に向こうからやってくることはないのだ。

終わりに

物語は突然に終わりを告げる。大人は物事を全て説明したりはしない。介護が必要になったおじいちゃんの為に、君が自宅の浴場をバリアフリーにするために改築する費用を、国が助成してくれる制度がある。しかし国は君とおじいちゃんの為に、「こういう制度があるから使えますよ」などと言いにくることはない。

自分で学び、自分で前に進み、自分で掴み取ることこそが、人生そのものだ。

僕は最近、中国の通販サイト”Taobao”から直接日本に発送してくれないSMグッズを4万円も購入した。つたない中国語と英語を用いてやりとりし、なんとか僕の家に発送してくれる手筈を整えたのだ。

僕がその道具を実用し実践する経験を積み重ねる日は、いつになるのだろうか。その為にどのステータスを上げる必要があるのか、それは僕にもわかりはしない。

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